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社会・経済システム学会 第22回大会プログラム

システムの公共性を考える

目次

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社会・経済システム学会 第22回大会・大会テーマ

「システムの公共性を考える」

大会テーマ趣旨説明文

 21世紀型の社会・経済システムを構想するために、公共性の概念に焦点を合わせてみよう。公共性とは、私的なものと対置される公的な領域やそれに関わる価値を、広く指し示す概念である。

 ふり返れば20世紀は、国民国家を基本単位としたシステムを中心としながら、欧米列強のイニシアティブ、冷戦による東西対立、そしてポスト冷戦へと推移してきた時代だった。しかし、グローバル化、リージョン化、ローカル化が同時進行する中で、システムを形成する単位が多元化し、それに伴って公的な領域のあり方やそこに関係する主体も変化しつつある。

 また20世紀は、科学技術の発展が社会・経済システムに大きなインパクトを与えた時代でもあった。科学技術は、一方でさまざまな生活の恩恵をもたらしたが、他方で環境や生命に関わるリスクを増大させることによって、新しい公的な問題を生み出している。さらに情報通信技術の発達は、公的な問題に関するコミュニケーションの空間や様式のあり方を変化させている。

 このような状況は、われわれに公共性の再検討を迫る。一方では、そもそも現代社会において公共性はどのように定義されうるか、公共的な価値とは何か、公共的な責任とは何かといった根本問題がある。それらは道徳、倫理、規範に関わる問題であると同時に、正義、公正、平等、合理性といった基礎概念の再検討を必要とする。他方では、環境・資源、人口、人種・民族・ネーション、宗教、経済格差、労働、福祉、教育、医療、コミュニティなど、幅広く多元的な公共性の領域をめぐる具体的問題がある。それらは学術的な分析を必要とするだけでなく、実践的な改善・解決を切実に求めている。

 またそこに関わる主体も、国家だけでなく、地方自治体、企業、NPO/NGO、あるいは民族集団や宗教組織など、多種多様な中間的な集団や組織、そして個々の市民のレベルまで多様である。さらに問題を討議する空間としての公共圏のあり方も、従来のマスメディアにインターネットが加わって多重化している。従来のような公共セクターと私的セクターの区分と機能分担も、問い直す必要があるだろう。

 公共性という観点から、われわれは21世紀型の社会・経済システムをどのように構想することができるだろうか。この問いかけのもとに、現状分析から将来構想にいたるまで、理論と実証の両面から、専門領域を超えた会員諸氏の広範で野心的な議論が展開されることを期待する。

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