会員からのお知らせ


書籍紹介『ポスト・プライバシー』

 本学会会員の阪本俊生先生(南山大学)より自著紹介の申し込みがありました。本学会員諸氏にも興味深い内容であると思われますので、以下ご参照ください。


 阪本俊生(南山大学)です。2009年1月に『ポスト・プライバシー』(青弓社)を刊行しました。 プライバシーを社会システムの変化を探るテーマの一つとして考察しました。社会全般に幅広い関心をお持ちの方、ご覧いただければ幸いです。

【内容】

今のプライバシーは、昔とは少し違ってきているのではないか。10年以上、プライバシーを研究してきてうつくづく感じてきた。本書は、このプライバシーの変化を通じて、現代の社会変化を映し出す試みである。もちろん、この変化は情報化や監視社会化とかかわっている。情報技術の発達と活用を進める現代の社会システムは、私たちとそれをとりまく社会環境をどのように変えつつあるのか、このことを、プライバシーは秘密ではなく、情報生産の問題だとする独自の視点から考察している。

【目次】

第1章 変容するプライバシー
1 プライバシーの変容
2 プライバシーをめぐるいくつかの変化
第2章 データ・ダブルとファンタジー・ダブル:情報生産の問題としてのプライバシー
1 プライバシーと秘密、隠蔽
2 個人情報生産の問題としてのプライバシー
3 プライバシーとダブルの問題
4 情報の価値化と生産
5 ファンタジー・ダブルとデータ・ダブルの違い
6 今日のデータ・ダブルとプライバシーの変化
7 ダブルの変化と変容
第3章 〈私〉は誰がつくるのか  生産の主体の問題
1 〈私づくり〉の主導権争いとプライバシー
2 近代に始まった〈私づくり〉とプライバシー
3 自己のアイデンティティの電子化
第4章 内面からデータへ
1 心の社会と内面を中心とするプライバシー
2 プライバシーの変容と個人の内面の空洞化
3 心の社会から情報管理の社会へ
第5章 脱親密の社会
1 親密さの歴史的性格と親密さのプライバシー
2 家族による社会コントロールの機能とプライバシーのコスト
第6章 身体とプライバシーの変容
1 身体とプライバシー
2 ゴフマンの社会学とプライバシーとのかかわり
3 プライバシーの変化と身体の解放?
4 情報化する身体と社会関係の電子化:身体的関係から電子的関係へ
第7章 個人の聖性とプライバシー
1 個人の尊厳とは
2 第二次的調整と個人の聖性
3 プライバシーと個人の聖性
4 脱聖化されたプライバシー
第8章 個人記号の計量学
1 個人のシンボルの重さ、軽さ
2 プライバシーの機能:個人のシンボルの軽さを救う社会装置
3 シンボルの重さを確保する社会装置の変遷

おわりに