近年、社会的・経済的事象に関する研究領域においても、システム研究・システム思考の展開は多様に行われ、その発展にはみるべきものがあります。このような動向は、それぞれに、さまざまな源流や経路の中から生まれておりますが、それらは単に一時的な風潮や安易な流行として現われているのではなく、科学と思想の歴史的発展に根ざした一つの大きな流れをしめしているとみられます。
社会的・経済的事象に関するシステム研究においては、社会科学のみならず、自然科学、人文科学など多くの分野からの学際的研究を必要とすることはいうまでもありませんが、その中で、社会的・経済的領域そのものにおける独自のシステム特性をさまざまの側面から理論的・実証的に明らかにして行く努力がますます求められてきているといえましょう。さらに今日、その社会・経済システム研究の成果をあげ、現代社会における多くの政策的課題の解決をはかることが、すぐれて必要とされております。
わたくしたちは、社会的・経済的事象に関する研究領域におけるシステム研究の学問的構築をすすめるために、多くの分野からあいつどい、研究の相互交流と発展をはかる一つの礎石を築きたいと期するものであります。
1982年11月28日