ニューズレター・JASESS


ニューズレター ・ JASESS No.70

社会・経済システム学会  2007.4.1

 

 新年度が始まり、会員諸氏におかれましては、意気込みも新たに研究、教育に励まれておられることと存じます。今年度大会のご案内を中心に、ニューズレター・JASESS No.70をお届けいたします。

社会・経済システム学会第26回大会のご案内

 社会・経済システム学会の第26回大会は、東京工業大学において下記の要領で開催することになりました。

セッションの構成

  1. 大会テーマセッション
  2. 企画セッション
  3. 自由論題セッション
  4. ISSS連係セッション
  5. ポスターセッション

大会CFP:

 社会・経済システム学会では、広く社会経済のシステムの理論・実証・応用に関する研究発表を募集しております。大会テーマセッション、企画セッションに加え、自由論題として社会経済システムに関する理論的、方法論的研究。一般システム理論、システム科学、エージェントベースモデリング等における社会科学と関連した、理論的、方法論的研究。社会経済の個別システムに関する、環境、NPO、行政評価、災害、情報化、ネットワーク化など多彩な問題関心からの分析、調査、シミュレーションなどの研究。その他、社会・経済・組織の諸領域に対する、理論、実証、応用など様々な視点からのシステム論的な研究発表を募集しております。若手・院生の研究発表も歓迎します。ただし発表は、場合によってショート発表、ポスターセッションあるいは院生セッションにまわっていただく場合もあります。

【大会テーマ趣旨説明文】

 社会経済領域のシステム科学者は、社会経済の諸対象に対して、それをシステムとして認識し、何らかのモデルを作成する。自然言語、数理言語、あるいはシミュレーション言語を用い主体を含むシステムをモデルとして切り出し記述し、そこで生じている現象を分析・理解・解釈し、解決すべき問題を明らかにし、その解決法を模索する。これがシステム科学者の仕事である。

 このようなシステムとして主体を含む対象を捉える分析の方法論は、ウェーバの理念型から、ゲーム理論のような数理モデル、計量モデル、エージェントベースシミュレーションから解釈学的な言説まですべてで共通する認識構造であるといってよい。主体の側が構成した言説空間によって社会の中の指向対象を切り取り、分析するという基本構造は共通であるとしても、その切り取り方と、語る側の言語、問題理解と解決の方法を巡って多くの方法論的な対立と混乱がある。

 もともとフィードバック等のシステム概念は、因果的、機械的モデル観に対抗して、アリストテレス以来の目的因を記述するために登場してきたという側面を持つ。その後発展した、フィードバック制御、複雑性、階層性、構造変動、自己組織化、創発、学習等の諸システム概念は、領域を超えた「人間や社会を認識するための語彙」を提供し、20世紀後半の人間と社会を語る言説空間は豊穣なものとなった。日常言語の中でさえフィードバックのような概念は普通に用いられる。だが今日、その豊穣性は失われつつある。

 社会システム論と理論的システム論の間で、超え難い概念上の溝が、システム境界や、自律性などの概念を巡って生じつつある。またミクロとマクロを巡る対立、意味的システムと機能的システムを巡る対立も混乱に拍車をかける。これらを放置することは、システム科学がシステムという一般性を持った対象記述の言説空間の「単語」「概念モジュール」を構築し提供するという理念を放棄することに他ならない。我々は現在の知の地平の中で、人間社会に関する厚みのある記述を提供する事のできる、システム的な概念セットについて改めて再構築する必要に迫られている。それは理論レベルだけでなく、あらゆる人間社会に対するシステムの実践領域から抽出される必要がある。参加的アプローチ、解釈的方法、内部モデル、構造変動、自己組織化、システム境界、目的、学習、等々様々な語彙がシステム認識の座標軸の中に位置付けられ、豊穣な共有知の地平を再構成するための理論や方法論、実践、応用からの提言と討議を歓迎する。

注1)2007年は、2007年8月5日〜10日までISSS(International Society for Systems Science)の大会が初めて日本で開かれる。ISSSは、IFSR傘下で最もアクティブな国際学会。IFSR登録学会としての社会経済システム学会の会員諸氏も、ISSSで発表や企画セッションをぜひお願いしたい。

http://isss.org/conferences/tokyo2007/

注2)東京工業大学すずかけ台キャンパスは、渋谷から田園都市線急行で45分程度かかります。宿泊や食事などの情報は、大会運営委員会のホームページに情報を記載する予定ですが、宿泊は都内の適当なところにとっていただけますようお願いいたします。

注3)本大会は、東京工業大学のCOEプログラム「エージェントベース社会システム科学の創出」の支援を受けております。

http://www.absss.titech.ac.jp/

http://www.soars.jp

  1. 報告をご希望の方は、所属機関・氏名・報告論題・報告要旨(400字〜600字程度)を2007年5月31日必着で下記事務局までお送りください。
    • 送り先:〒594-1198 大阪府和泉市まなび野1−1  桃山学院大学社会学部 宮本孝二研究室気付
      • 電話:0725-54-3131(ex.3001)
      • fax:0725-54-3214(代表)
      • e-mail: miyamoto@@@andrew.ac.jp(@を2つ削除してください)
  2. ご報告の採否は2007年7月頃にご通知できると思います。
  3. ご報告頂くことになった際には、2007年9月30日必着で3,000字程度の報告要旨原稿をお願いすることになりますので、あらかじめご了承ください。
  4. 第26回大会関連論文の機関誌への投稿締切日は2008年3月10日(必着)、完成論文提出締切日は2008年8月10日(必着)となっております。大会関連論文、一般投稿論文、特集論文の詳細は、社会・経済システム学会ホームページ内、機関誌編集方針の概要 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jasess/journal/memo.html をご覧ください。

会員名簿について

 2007年3月現在の学会会員名簿を作成いたしました。名簿記載事項に誤りや変更がござましたら、事務局までご連絡ください。また、今後、各種の連絡に電子メールを活用したいと考えておりますので、電子メールをお使いの会員でメールアドレスを学会に通知されていない会員はご通知いただけますようお願いいたします。

住所等の変更について

 登録事項に変更がございましたら、以下の社会・経済システム学会事務局まで至急ご連絡ください。

会費ご納入のお願い

 今年度も会費ご納入のほど、よろしくお願い申し上げます。なお、同封の振込用紙をご利用下さい。



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