ニューズレター・JASESS No.78
社会・経済システム学会 2009.12.1
謹啓 会員諸氏におかれましては、ますますご清栄のことと存じ上げます。
さて、本学会の第28回大会が、10月17日(土)、18日(日)の両日、関西大学において開催されました。大会報告ならびに次回第29回大会の開催要領等についてお知らせいたします。
■第28回大会は成功裡に終了しました
社会・経済システム学会第28回大会は、「持続可能な社会経済システムと地域総合デザイン」との大会テーマのもと、10月17日(土)、18日(日)の両日、大阪府吹田市の関西大学・吹田キャンパスで開催され、企画分科会をはじめ各分科会の報告・討論も好評裡に終了しました。
1日目午後の会長講演では、「グローバル・ガバナンスの変化とマルチ・ステイクホルダー・プロセス」と題して、谷本寛治学会長(一橋大学)に講演をしていただきました。また、2日目午後には、大会テーマ企画として、「持続可能な社会経済システムと地域総合デザイン」のテーマのもとシンポジウムが開催されました。
学会大会の開催に尽力された関西大学の竹下公視大会実行委員長をはじめとする大会実行委員の皆様のご協力に深く感謝いたします。
■第29回大会は、同志社大学で開催することになりました
社会・経済システム学会の第29回大会は、同志社大学において下記の要領で開催することになりました。
- 大会テーマ:「グローバリゼーションにおける社会・経済システムの構想」
- 開催日:2010年10月30日(土)・31日(日)
- 場所:同志社大学(今出川校地)
- 大会実行委員長:鵜飼孝造(同志社大学)
- 連絡先:〒602-8580 京都市上京区新町通今出川上ル 同志社大学社会学部 鵜飼孝造研究室内 社会・経済システム学会2010年大会実行委員会
- Tel 075-251-4501
- Email kukai@@@mail.doshisha.ac.jp(@を2つ削除してください)
【大会テーマ趣旨説明文】
アメリカでも日本でも2009年に政権交代があり、ようやく市場主義は逆転しはじめた。1989年の冷戦終結以来、20年続いたグローバリゼーションは、アメリカニゼーションへの追従と反発を脱して第2段階に入りつつある。2008年の金融危機を受けて、G8のヘゲモニーはG20に拡散した。政治面でも経済面でも、世界は先進国中心主義から、BRICsをはじめ新興国を取り込んだ多極主義へと軸を移している。どの政府が中心というわけでもなく、どの体制が正統性をもつのでもない、半面、どの地域も自分と無関係ではありえない状況の中で、各々の社会が増大するリスクを考えて、自らにとって最適なシステムを模索する時代になった。いよいよ本格的なグローバリゼーションが始まったともいえるだろう。
では今、本学会の果たすべき役割とは何だろうか。まず考えうることは、グローバリゼーションの深化の中で、ある社会がそのシステムについて構想するための多次元的な相関図を提示することだろう。たとえば、地球環境問題と人口問題の相関関係、プレカリアートと官僚主義との因果関係など、グローバルとローカル、マクロとミクロを架橋するために、新しい視点から問題に取り組み、システム論的な考察をおこなっていくことが求められる。個別問題に対する個別の対策にとどまるのではなく、あるいは総論や抽象的議論で終わるのでもなく、広く専門家の議論を多次元でつなぎながら、システム論的な視点からのアプローチを提起することは、本学会こそが果たせる役割ではないだろうか。
またグローバリゼーションは、日本の社会・企業および自治体などローカルな単位に、より現実的な対応を迫っている。たとえば日本の大学で学ぶ留学生が、卒業後も日本社会に定着して仕事と生活をしていくためには、どのような法的整備が必要だろうか。企業は新しい人材をどう活かしていけるだろうか。技術の移転や導入はどうあるべきか。あるいは自治体にとってどのような政策が可能だろうか。反対に日本では海外の人材を受け容れることに消極的であり続ける可能性も大きいだろう。その場合、グローバル化の中で、日本社会はいかに持続可能な社会・経済システムを見出していけるだろうか。独自のシステムを逆に世界に提案することは可能だろうか。
さらに、グローバリゼーションは情報とメディアの世界で進行している。それは文化や価値観やライフスタイルの変容をもたらすだけに、人やモノの移動・流通以上に大きな影響をもたらしつつある。それらを新しい社会・経済システムのコンテクストにおいて理論化を試みる作業は、本学会にとってのもう一つの課題ではないだろうか。
本大会では、海外から、若い研究者からも含め、全会員の活発な発表と議論を歓迎する。
- 報告をご希望の方は、所属機関・氏名・報告論題・報告要旨(400字〜600字程度)を2010年5月31日必着で事務局(放送大学:事務局長 奈良由美子)まで必ずメールにてお送りください。
- 送り先:narasys@@@u-air.ac.jp とkawasys@@@u-air.ac.jp の両方にお送り下さい。(@を2つ削除してください)
- ご報告の採否は2010年7月頃にご通知できると思います。
- ご報告いただくことになった際には、2010年9月15日(必着)で、A4版×2枚ないし4枚(偶数枚のみ)の報告要旨原稿をお願いすることになりますので、あらかじめご了承ください。
- 第29回大会関連論文の機関誌への投稿締切日は2011年3月10日(必着)、完成論文提出締切日は2011年8月10日(必着)となっております。『社会・経済システム』編集委員会では、今年度から投稿、査読結果の連絡、完成原稿の入稿等のプロセスを、すべて電子的に行うことにしました。この2年間の試行期間を経て、電子的な処理を行う体制が十分に整ってきたと判断したためです。論文を投稿される方は、大会関連論文、一般投稿論文とも、編集委員会宛にメールでファイル(MS-WORDないしPDF形式)をお送り下さい。大会関連論文、一般投稿論文、および特集論文の詳細は、社会・経済システム学会ホームページ内、機関誌編集方針の概要 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jasess/journal/memo.html をご覧ください。
■新入会員紹介
〜次の方々の入会が2009年10月17日(土)の総会において承認されました〜(敬称略・※は、学生会員)
- 左治木吾郎(さじきごろう)東京国際大学国際関係学部 比較経済学、ロシア経済、移行と開発の経済学
- 林美香子(はやしみかこ) 慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科(特別研究教授) 地域再生マネジメント、農村と都市の共生、グリーンツーリズム、環境
- 手嶋龍一(てしまりゅういち) 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 国際問題概論、社会中枢システム、ビジネスインテリジェンス、システムデザイン・マネジメント
- 浦野慶子(うらのけいこ) 慶應義塾大学大学院政策メディア・研究科(研究員) 社会学、ソーシャル・キャピタル
- 金子郁容(かねこいくよう) 慶應義塾大学 ネットワーク論、コミュニティ論、ソーシャルイノベーション
- 山本利明(やまもととしあき) 大阪電気通信大学金融経済学部アセット・マネジメント学科 CSRとSRI
- 鈴木良幸※(すずきよしゆき) 名古屋大学大学院博士後期課程文学研究科日本文化学講座 日本文化学
- 大下朋子(おおしたともこ) 吉備国際大学社会学部ビジネスコミュニケーション学科 社会学
- 前田恵美※(まえだえみ) 関西大学大学院経済学研究科後期課程2年 経済学
- 小笠原伸(おがさわらしん) 早稲田大学WABOT-HOUSE研究所 都市論地域デザイン、産業振興
■昨年度会計報告および今年度予算
2009年10月17日(土)の総会で、昨年度の会計決算について小幡・村田両会計監事の監査報告書とともに事務局から報告があり承認されました。また、今年度予算案についても事務局より資料に基づき報告があり総会で承認されました。
(詳細は省略)
■監事交代について
2009年10月17日(土)開催の総会において、現監事の村田晴夫先生からのご要望を受け、今年度をもって同先生の監事辞任を承認しました。後任については理事会で候補者を推挙、事務局から依頼を行い、廣田俊郎先生(関西大学)に引き受けていただくこととなりました。したがって2010年度(2010年4月1日から2011年3月31日まで)の監事は、小幡範雄先生(立命館大)、廣田俊郎先生(関西大学)のお二人にお願いすることとなります。
■会費納入のお願い
今年度及び前年度以前の会費が未納の会員には、11月初旬に再請求書(ヤマトフィナンシャル振込み用紙)をお送りいたしましたので、納入のほどよろしくお願いいたします。
■変更届提出のお願い
ご住所、ご所属、その他、会員情報にご変更がございましたら学会事務局(放送大学 奈良研究室内、E-mail:kawasys@@@u-air.ac.jp、@を2つ削除してください)までお知らせください。
※ニューズレター等配布物の返送が相次いでおります。送付先変更がございましたら速やかに上記事務局宛メールアドレスまでお知らせくださいますようお願いいたします。
本年も会員の皆様にはご尽力くださり誠にありがとうございました。よいお年をお迎えください。