ニューズレター・JASESS


ニューズレター・JASESS No.79

社会・経済システム学会  2010.4.1

 新年度が始まり、会員諸氏におかれましては、意気込みも新たに研究、教育に励まれておられることと存じます。今年度大会のご案内を中心に、ニューズレター・JASESS No.79をお届けいたします。

社会・経済システム学会第29回大会のご案内

 社会・経済システム学会の第29回大会を、同志社大学において下記の要領で開催することになりました。

【大会テーマ趣旨説明文】

 アメリカでも日本でも2009年に政権交代があり、ようやく市場主義は逆転しはじめた。1989年の冷戦終結以来、20年続いたグローバリゼーションは、アメリカニゼーションへの追従と反発を脱して第2段階に入りつつある。2008年の金融危機を受けて、G8のヘゲモニーはG20に拡散した。政治面でも経済面でも、世界は先進国中心主義から、BRICsをはじめ新興国を取り込んだ多極主義へと軸を移している。どの政府が中心というわけでもなく、どの体制が正統性をもつのでもない、半面、どの地域も自分と無関係ではありえない状況の中で、各々の社会が増大するリスクを考えて、自らにとって最適なシステムを模索する時代になった。いよいよ本格的なグローバリゼーションが始まったともいえるだろう。

 では今、本学会の果たすべき役割とは何だろうか。まず考えうることは、グローバリゼーションの深化の中で、ある社会がそのシステムについて構想するための多次元的な相関図を提示することだろう。たとえば、地球環境問題と人口問題の相関関係、プレカリアートと官僚主義との因果関係など、グローバルとローカル、マクロとミクロを架橋するために、新しい視点から問題に取り組み、システム論的な考察をおこなっていくことが求められる。個別問題に対する個別の対策にとどまるのではなく、あるいは総論や抽象的議論で終わるのでもなく、広く専門家の議論を多次元でつなぎながら、システム論的な視点からのアプローチを提起することは、本学会こそが果たせる役割ではないだろうか。

 またグローバリゼーションは、日本の社会・企業および自治体などローカルな単位に、より現実的な対応を迫っている。たとえば日本の大学で学ぶ留学生が、卒業後も日本社会に定着して仕事と生活をしていくためには、どのような法的整備が必要だろうか。企業は新しい人材をどう活かしていけるだろうか。技術の移転や導入はどうあるべきか。あるいは自治体にとってどのような政策が可能だろうか。反対に日本では海外の人材を受け容れることに消極的であり続ける可能性も大きいだろう。その場合、グローバル化の中で、日本社会はいかに持続可能な社会・経済システムを見出していけるだろうか。独自のシステムを逆に世界に提案することは可能だろうか。

 さらに、グローバリゼーションは情報とメディアの世界で進行している。それは文化や価値観やライフスタイルの変容をもたらすだけに、人やモノの移動・流通以上に大きな影響をもたらしつつある。それらを新しい社会・経済システムのコンテクストにおいて理論化を試みる作業は、本学会にとってのもう一つの課題ではないだろうか。

 本大会では、海外から、若い研究者からも含め、全会員の活発な発表と議論を歓迎する。

  1. 報告をご希望の方は、所属機関・氏名・報告論題・報告要旨(400字〜600字程度)を2010年5月31日必着で事務局(放送大学:事務局長 奈良由美子)まで必ずメールにてお送りください。
    • 送付先メールアドレス: kawasys@@@ouj.ac.jp(@を2つ削除してください)
  2. ご報告の採否は2010年7月頃にご通知できると思います。
  3. ご報告いただくことになった際には、2010年9月15日(必着)で、A4版×2枚ないし4枚(偶数枚のみ)の報告要旨原稿をお願いすることになりますので、あらかじめご了承ください。
  4. 第29回大会関連論文の機関誌への投稿締切日は2011年3月10日(必着)、完成論文提出締切日は2011年8月10日(必着)となっております。『社会・経済システム』編集委員会では、今年度から投稿、査読結果の連絡、完成原稿の入稿等のプロセスを、すべて電子的に行うことにしました。この2年間の試行期間を経て、電子的な処理を行う体制が十分に整ってきたと判断したためです。論文を投稿される方は、大会関連論文、一般投稿論文とも、編集委員会宛にメールでファイル(MS-WORDないしPDF形式)をお送り下さい。大会関連論文、一般投稿論文、および特集論文の詳細は、社会・経済システム学会ホームページ内、機関誌編集方針の概要 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jasess/journal/memo.html をご覧ください。

■学会事務局メールアドレスの変更について

 2010年4月1日より、学会事務局のメールアドレスが変更となります。学会へのご連絡は、 新アドレスkawasys@@@ouj.ac.jp(@を2つ削除してください)にお願いいたします。

■会費納入のお願い

 今年度も会費ご納入のほど、よろしくお願い申し上げます。

■変更届提出のお願い

 住所、ご所属、その他、会員情報にご変更がございましたら学会事務局(放送大学 奈良研究室内、E-mail:kawasys@@@ouj.ac.jp(@を2つ削除してください))までお知らせください。 また、変更・入会・退会に関する手続きについては、学会ホームページのhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/jasess/info/admission.htmlからもご覧になれます。

※ニューズレター等配布物の返送が相次いでおります。送付先変更がございましたら速やかに上記事務局宛メールアドレスまでお知らせくださいますようお願いいたします。