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社会・経済システム学会 第24回大会プログラム

幸福・不幸と社会経済システム

目次

過去の全国大会

社会・経済システム学会 第24回大会・大会テーマ

「幸福・不幸と社会経済システム」

大会テーマ趣旨説明文

 人類の幸福はいかにして実現されるのだろうか。どのような社会経済システムが人類の幸福をもたらすのだろうか。

 近代の歴史をふり返れば、19世紀の功利主義は人間の幸福の加算を理想としたが、幸福になれたのは一部の人間に過ぎなかった。20世紀は、どの社会も豊かさをめざした、豊かになったのは一部の先進地域のみであり、世界的視野に立つならば、貧富の差は拡大しつつあるどころか、飢餓問題も決して克服できたわけではない。そして、豊かな社会にもアノミー、DV、自殺、ホームレス、自傷行為など独特の病理がつきまとう。

 21世紀に入って、問題は縮小するどころかグローバリゼーションの流れに付随する格差と亀裂を増幅させている。「テロとの戦い」といった最初から負のかたちで反転した現象も21世紀に固有の現象だろうか。その結果、現代社会は飢餓問題にはじまり、格差問題、豊かさの病理問題、その他の(グローバリゼーション時代に固有のものを含めた)自明ではない問題、を輻輳していると言える。そして、もう一つ重要なことは、どの時代も決して不幸はなくならなかったということだ。

 こうした歴史的過程において、個別科学はそれぞれに「人類の幸福」を求めてきた。経済学は主として福祉政策を通して、政治学は民主主義の確立を通して、社会学は豊かさにおける病理への対応を通して。工学もまた、広い意味でのテクノロジーの実現と発展を通して、人類の幸福への貢献を追求してきた。それにもかかわらず、不幸が決してなくなりはしなかったということの重みは今一度考え直してみる必要がありそうだ。

 社会学者の見田宗介は「システムの環としての幸福/幸福の環としてのシステム」について両者の「反転」可能性について述べている。つまり、大衆はシステムの誘惑に誘われてむしろ消費への欲望を喚起することがありうること、その結果、大衆が消費することは、それが資本の増殖過程の一環をなすからといって、それが大衆自身のよろこびであることに変わりはない、と。しかし、いつの時代も不幸が堆積しているとするならば、システムの環とは何であったのだろうか。同じ反転でも、幸福の環としてのシステムをシステムの環としての幸福に反転させるにはどうすればいいのだろうか。

 どのような社会経済システムが人類の幸福をもたらすのか、混迷の時代にあらためて問い直してみたい。さらに古来、哲学をはじめすべての科学は人類の幸福をめざしてきたはずである。しかし、専門分化の進行と日常化に伴って、いつしかその初心は放擲されたかのようにさえ映る。人類の幸福をもたらすシステム論がどのようなものでなければならないかも合わせて問い直したい。

 幸福の概念、幸福の尺度をどのように考えるか、それは人類に共通の一様なものか多様なものか、といった原理的な問い、幸福や不幸をもたらす社会経済システムのメカニズムについての理論的な問い、幸福の偏在を是正し不幸を解消するための規範的・実践的な問い、さらには現代社会における幸福と不幸をめぐる諸問題についての具体的・経験的な問いにいたるまで、さまざまなテーマとアプローチを構想してみることができるだろう。会員諸氏の積極的・意欲的な参加を期待する。

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