社会・経済システム学会 第32回大会


社会・経済システムのリストラクチャリング

社会・経済システム学会 第32回大会・大会テーマ

「社会・経済システムのリストラクチャリング」

大会テーマ趣旨説明文

 2008 年のリーマンショック、2011 年の東日本大震災、福島第一原子力発電所の事故は、日本の社会・経済システムに多大な影響をもたらした。それらは政府や地方自治体のあり方や対応に大きな課題を残し、あわせて事業の継承、雇用の確保、企業と社会の関係といった企業システムについても多くの課題を投げかけている。

 一方で、東日本大震災では、企業の社会貢献や社会的事業、ならびに社会的課題の解決を目的とする株式会社(ソーシャル・ベンチャー)の台頭がクローズアップされ、企業システムの新たな側面も見え始めた。また、震災後、政府もこのような企業やNPO の動きを積極的に支援している。さらに地方自治体の重要性も改めて重視されるようになっている。このように大震災はネガティブな側面のみならず、ポジティブな側面をも生み出すこととなった。

 このような状況にあって、社会との関係性の中で企業システムのあり方を再考することのみならず、政府、地方自治体、地域、NPO を含めた社会・経済システムのあり方を再考すべき時期にきている。とくに既存の社会・経済システムと折り合いをつけながら、市場や地方を中心とした新しい社会・経済システムへの転換が求められている。また、マグニチュード7級の首都直下型地震や南海トラフ地震などが想定される中で、どのような社・
経済システムが必要なのかなど、求められる課題も多い。このようなニーズや問題を解決できる社会・経済システムにリストラクチャリングすることが求められている。

 本学会は過去数年間に、「復興と再生」、「イノベーションと社会・経済システム」、「グローバリゼーションにおける社会・経済システムの構想」、「持続可能な社会・経済システムと地域総合デザイン」を大会テーマとして取り上げ、活発な議論を積み上げてきた。それらを踏まえ、企業システムの再考、社会・経済システムのリストラクチャリングを構想することは本学会が担う重要な役割と考える。

 本大会では、企業システム、行政、地域、NPO を含む社会・経済システムについて、多様な観点からの理論的、実践的な研究発表と盛んな議論が行われることを期待する。